準決勝まで北島を上回る好成績を挙げていたアレクサンドル・ダーレオーエン(ノルウェー)や宿敵ブレンダン・ハンセン(米国)を破り、予告通り国家水泳センターのセンターポールに日の丸を掲げた。
五輪100メートル平泳ぎで2連覇したのは北島が世界で初めて。世界新で金メダルを決めた直後のテレビインタビューで、北島は「うれしい。すいません、何にも言えない。本当に金メダル取れてよかった。アテネのとき以上に気持ちいい」と、涙で言葉を詰まらせながら語った。さらに「記録も、優勝もできたので本当に満足。この後200メートルもあるので頑張る」と大会2冠に向けて強い意気込みを示した。
北島の記録は58秒91で、ハンセンが2006年8月にマークした世界記録59秒13を塗り替えた。レース前半こそダーレオーエンとハンセンに次ぐ3位で折り返したものの、後半には温存していた力でスパートをかけ、2位のダーレオーエンを0秒29差で交わした。ハンセンは北島に0秒46遅れて4位でゴールし、メダルを逃した。
「最後の5─10メートルが勝負」との平井伯昌コーチの言葉を胸に、前半はリラックスして大きな泳ぎを心がけたという。「後半に余力で前に出る作戦だったが作戦通り」と満足そうに語った。この日の泳ぎについては「完璧だね。理想の泳ぎだと思う」と北島らしいコメントも飛び出した。
<海外のライバルが脱帽>
ハンセンは北島の優勝について「驚いていないよ。彼は本当に速かった」とコメント。北島にも「すばらしい泳ぎだった」と伝えたという。「あんなレースができる男には脱帽するしかない。強烈なプレッシャーがかかったレースなのに本当にすごい泳ぎだった」と述べ、「北島は真のチャンピオンだ」と褒め称えた。7月の米国代表選考会では200メートルの五輪出場権を逃すなど不調続きのハンセン。「でもこれが最後じゃない。もう一度世界記録を出すまで続けると決めている」と述べ、世界記録への再挑戦に意欲を示した。
準決勝までトップを走っていたダーレオーエンは「北島に勝つのが大変だということはわかっていた。残念ながら今回はうまくいかなかった」と悔しがった。ただ「ちょっと前まで1分の壁と戦っていたことを思えば(決勝の)59秒20は僕にとって大きな前進」と笑った。
北島はアテネ五輪に続き100メートルと200メートル2種目での2大会連続金メダルを目指し、高地合宿での体力作りなど苦しい練習を重ねてきた。アテネ後の4年間には浮き沈みもあり、国際大会ではハンセンに負け続けた。それでも五輪への思いが人一倍強い北島は北京大会に向け調整を続け、待ちに待ったという大舞台で自分の最高の力を発揮した。
レース後には「今まで自分が望んだ記録で優勝できていなかったので、この瞬間を味わえたことが幸せ」と満足そうに話した。「五輪は本当に楽しい」。
この流れを、得意の200メートルにもつなげ、自身が6月に樹立した世界記録をさらに更新し、今大会2つ目の金メダルを狙う。





